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2019年度久留米市新規採用職員研修で『久留米シティプラザ』を見学

 久留米市地域おこし協力隊となった私は、市の新規採用職員さん達の研修に参加しましたが、その一環で久留米シティプラザを見学させていただきました。プラザには、Cボックス、久留米座、ザ・グランドホール、とそれぞれ特徴的な劇場があり、舞台技術課長さんが直々に案内してくださいました。劇場の品質の高さと美しさは圧倒的。同時に、プラザ内の各種スペースは市民の憩いの場として利用されていて、まさしく久留米市の文化拠点となっています。ホント久留米って凄い!




Cボックス-演劇・音楽・ダンスの演出効果を高める可動式マルチスペース
 見学当日は、ジャズの録音会場として準備中でした。ピアノが置かれた舞台や私たちが座った客席スペースは広げたり狭めたりできる可変式で、床の高さも目的に応じて調節可能。舞台向かって右側の締まっていた幕を上げれば、パッと明るい外光が射し込み一気に雰囲気が変わります。音響も演劇や音楽録音を考慮し、あまり響かないように調節されているそうです。新たな演出アイデアを掻き立てさせられる素晴らしいスペース。リハーサルでも使用できます。




久留米座-モダンな和の雰囲気が格調高い伝統演劇・舞踊などができる劇場

 「久留米座」の提灯に出迎えられて劇場のドアをくぐった途端、上品な和の趣きに全身が包まれます。客席数399と大きくありませんが、それが逆に昔の芝居小屋のような臨場感を実現しています。歌舞伎・助六由縁江戸桜の華やかな店先格子を思わせる壁面装飾と間接照明で、客席までが舞台のよう。花道や能舞台も設置可能な舞台設備とともに、最先端の音響設備でどの席でも明確に音が聞こえると知れば、国立劇場や歌舞伎座、国立能楽堂でも味わえない素晴らしい観劇を楽しめること間違い無しです。




ザ・グランドホール-ヨーロッパのオペラ座へ瞬間移動!?
 そして、ザ・グランドホールへいよいよ入場です。客席最後列と舞台が30mという近さの4階層の客席とも相まって、側面のバルコニー席が、「自分はヨーロッパにいるのでは?」と思わせる程の雰囲気を醸し出します。音楽を主目的としたザ・グランドホールは、Cボックスとは逆に、音楽に適した残響を残すよう綿密に計算された空間設計。音響の良さは楽劇王・リヒャルト・ワーグナーが設計したドイツ・バイロイト祝祭劇場にも匹敵する、とも。舞台装置も素晴らしく、例えば、舞台幕の昇降機も舞台の空気感を壊さぬよう、一切音が発生しない世界一流のメーカー製が使用されているそうです。



 上がらせていただいた舞台から見渡す劇場の豪華な眺めに、まるで自分がパリ・オペラ座に立った歌舞伎の看板役者になったような高揚感を味わいました。新規採用研修の皆さんも、自分達が立つ舞台の一角をせり上げてもらって喜びの歓声を上げていました。
 ところで、パリ・オペラ座だと歌舞伎はどう見えるのか?幸運にも4/23に『久留米市制施行130周年記念 松竹大歌舞伎 二代目松本白鸚、十代目松本幸四郎 襲名披露』があると知り、見学の後、さっそくバルコニー席チケットを買ってしまいました。今からワクワクしています。


最後に 市民の皆さんが日常的に訪れる憩いの場として
 プラザには、素晴らしい劇場の他にも全天候型の六角堂広場をはじめ、会議室、展示室、和室、スタジオなどが備えられ、多様な文化・イベント活動に対応できるようになっています。
 さらに、施設を利用しなくても市民の方が気軽に立ち寄り過ごせるよう、各所にテーブルや椅子が用意されています。実際、見学の移動中にも、外の景色が眺められる大きな窓際で、中高生が勉強したり、大人の方が手紙を書いたり、読書にふけったりする姿を多く見かけました。
 こういった風景こそ、プラザが久留米市民の真の文化拠点として根付いていることを私に教えてくれました。




インフォメーション(久留米シティプラザの公式サイトなど)
 久留米シティプラザ https://kurumecityplaza.jp/。直近の公演では、上記の4/23開催の「松竹大歌舞伎」の他、5/2&3開催の石丸幹二主演の音楽劇「ライムライト」など多種多様な公演が上演されます。
 久留米シティプラザの各劇場の技術については、『JATET JOURNAL vol.16 2018/19久留米シティプラザ』(劇場演出空間技術協会発行)のPDFをインターネットから閲覧できます。
https://www.jatet.or.jp/journal/data/jatet_journal_2018-19_vol16.pdf





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